今、読んでおきたい儚くも美しい蛍をテーマに書かれた小説「虹色ほたる 〜永遠の夏休み〜」の魅力

虹色ほたる―永遠の夏休み― [DVD]

虹色ほたる―永遠の夏休み― [DVD]

  • 発売日: 2012/11/21
  • メディア: DVD
もし山奥の自然豊かな田舎で過ごすことになったら、あなたは楽しめますか?

虹色ほたる 〜永遠の夏休み〜」とは?

作者の川口雅幸が開設した個人サイトで2004年5月8日から小説連載を開始し2005年9月21日に完結。
投票サイトで上位となる人気となり、2006年11月に出版化が決定し、2007年にアルファポリスのドリームブッククラブから書籍出版。
2012年にアニメーション映画化された。
2012年までに文庫版を含め40万部を突破。

作者は出版化当初からこの作品を「最終的に映像化を目指しています」と宣言していた。

ストーリー

事故で亡くなった父との思い出の地に訪れていた主人公は、足を滑らせ転落してしまう。不思議なおじいさんに死にそうなところを救われ、主人公が放り出されたのは1977年の村。この村がダムの底に沈む前の最期の夏だった。
その村で暮らす子どもたちは村での最期の夏を全力で楽しみながらも、故郷を失う悲しみや新たな土地での暮らしへの不安を抱えていた。それでも自分なりに答えを出し、前を向いていた。
そんな子どもたちに感化され主人公もこれからのことに自分なりの答えを出し、前を向き始める。

この物語のキーとなるもの。
命を繋ぐため懸命に光る蛍。儚くも美しい蛍の光

「蛍はね、運命の相手を探すために光を出しているんだよ」

映画の告知にも使われたこのセリフ。ロマンチックながらも、何かぐっと来るものがある。
この他にも、蛍になぞらえたセリフがいくつか存在します。ここではネタバレになるので、書きません。大人には言うのが難しい子どもだからこそ言えた言葉だったと思います。眩しいです。

この村には、村の危機に現れる虹色に光る蛍が存在するという伝説があった。村の神社の神主が子どもの頃、その蛍のおかげで水源を見つけ水不足の危機から逃れることが出来た。
なのに、村がダムに沈むという危機に虹色に光る蛍が現れない。これも時代の流れかと神主は嘆いていた。
だが、虹色に光る蛍は物語終盤に奇跡を起こす。

最後に

この村のように高度経済成長期、犠牲となった村がいくつか存在しています。なくなってしまってからは、取り返せない。とても考えさせられる物語だと思います。

今、読んでおきたい甘くて熱いVRMMO小説「最強カップルのイチャイチャVRMMOライフ」の魅力

もし人間と同じ感情や思考を持ったキャラがいるゲームがあったら、あなたはプレイしたいですか?

「最強カップルのイチャイチャVRMMOライフ」とは?

《マギックエイジ・オンライン》というゲームを全力で楽しみながら、無意識でイチャつく男女を糖分過剰気味で書かれた小説。
この物語はただのラブコメではない。AI、VR、ゲームといった様々な要素が絡み合っている。これについては、後述します。

ケージとチェリーの関係

題名に「カップル」とあるが、ケージとチェリーは付き合ってないと主張している。
本人たちからすれば何気ないやり取りなのに、周りから見ればすごくイチャついてるように見える。
互いに好き同士じゃないかと思うのだが、2人は自分たちがカップルだと頑なに認めようとしない。
互いに他人が理解が出来ないような孤独を抱えており、唯一理解しあえる存在を絶対に失いたくないから、カップルじゃない気安い関係でいようとしている。
良き理解者であり、ゲーム仲間であり、絶対の信頼を託せる唯一無二の存在。言葉にしてしまうと壊れてしまいそうだから、言葉にはしない関係。

なおリアルでは、ほぼ接点のない同じ学校の先輩後輩同士。唯一の接点は、ケージの妹の友達がチェリーであることぐらい。

《マギックエイジ・オンライン》とは?

ケージとチェリーがプレイしている、架空の島のムラームデウス島を舞台にした多人数同時参加型(マッシブリー・マルチプレイヤー)のゲーム。
なお、マギックエイジ=魔法時代と作中では訳されている。

NPC

NoPlayerCharacter(ノープレイヤーキャラクター)。ゲーム世界の住人。
プレイヤーは、その世界の客人である。ゲームごときかもしれないが、NPCはその世界で必死に生きている。例え敵NPCでも、必死に生きている。

※以下の文は一部引用してます。何話かはネタバレになるので、書きません。

《マギックエイジ・オンライン》の主要キャラは、《高位NPC》と呼ばれている。《高位NPC》は汎用AIが実装されたおり、人間に近い思考を持っている。
《高位NPC》は、とある条件を満たすと《メタNPC》になる。
《メタNPC》は、真の意味で人類と何の区別もなくなった新たなる人類《電子人類(デジタロイド)》になり、ゲームのために作られたNPCでありながら、ゲームという枠からはみ出すこと許された存在となる。

クロニクル・クエストとは?

※1章19話「クロニクル・クエスト」より、以下の文は一部引用しています。

《マギックエイジ・オンライン》の真骨頂とも言える設定。
このクロニクル・クエストはムラームデウス島の歴史そのもので、クロニクル・クエスト中にNPCがどれだけ死んでも、村がどれだけ燃えても、地形がどれだけ崩れても、再生(ロード)してハイ元通りとはならない。
全プレイヤーによって共有されるクロニクル・クエストは、誰か一人でもクリアすれば二度と復活せず、クリア報酬はアカウントを持つ全員に与えられる。
その内容は貢献度に応じて豪華になって、上位10人ともなれば、二度と手に入らない超貴重品が手に入ることも珍しくない。
その活躍が公式ノベライズ《クロニクル》に記されて、《マギックエイジ・オンライン》の世界の歴史に名を残すことになる。なおケージとチェリーはこの《クロニクル》に出演したことがあるため、ゲーム内ではかなりの有名人になっている。もちろん、最強カップルとして。
重要なのが、戦闘に参加することばかりが貢献度を上げる手段じゃないってこと。
クリア者の武器をメンテした。補給部隊としてポーションを運んだ。クリアに必要なクエストを発見した。といった一見些細にも思える行動のすべてが、貢献ポイントと呼ばれる内部ステータスとして計算されて、最終的な貢献度を決定する。
つまり《マギックエイジ・オンライン》で紡がれる歴史には初心者も上級者も戦闘職も生産職も関係なく、全員が関わっている。部外者なんていない。
《マギックエイジ・オンライン》にログインするときに通る扉に刻まれた、「ようこそ、時代の礎となる者よ」というメッセージはただの演出じゃない。《マギックエイジ・オンライン》で起こることを的確に表現している。

ただのラブコメではない

ケージとチェリーのカップルとは一言では言いあらわせない関係を描く物語であり、AIとは?ゲームとは?現実とは?と問いかける物語でもあります。
ゲームはゲーマーにとって、しょせんゲームとは言えないもう一つの現実である。キャラが死ねば悲しいし、回避出来るなら回避したい。そんな欲望を詰め込んだ物語。
最近リメイクしたファイナルファンタジーⅦのオリジナルをプレイした当時の自分は、色々手を尽くしました。バグを使って先を見て、開発者に怒りを感じました。

可能性を感じてほしい

ゲームに何ムキになってんの?って冷めた目で見る人もいるかもしれない。
そんな人に聞きたい。あり得ないかもしれないけど、もしゲームのキャラが普通の人間のように接してきて友達になったとしたら、それでもしょせんゲームと言えますか?
一緒に様々な場所で冒険して、背中を預け合い、たくさんの時間を共にしたなら、例えAIでも友達に仲間にもしかしたら恋人にだって、血の繋がりがなくったって親子にもなれるかもしれない。
その可能性を垣間見ることが出来る物語、この先の未来あり得るかもしれない物語、そうだと信じたいと思わされる物語だと確信してます。

最後に

可能性を綴り多くの人が夢を抱く、そして実現させる。それはいつの時代になったって、変わらないと思います。
ジュール・ヴェルヌが多くの少年少女の心を揺さぶり潜水艦やロケットが今世にあるように、人間と同じ思考が出来るAIや現実世界並にリアルなVRが実現するかもしれない。生きてる間に実現するかは分からないけど、見てみたいと思う。

下のURLから小説家になろうの作品ページに飛べますので、この記事を読んで実際に「最強カップルのイチャイチャVRMMOライフ」を読んでみたいと感じた方はぜひ

https://ncode.syosetu.com/n2143dt/

ケージとチェリーのセリフや描写は、水斗と結女のセリフなや描写に似ている気がします。全く同じではないんですが、雰囲気が似てます。
「連れカノ」1話が発表された2017年8月7日時点で、「イチャイチャ」113話です。
114話のあとがきに
「この小説を読んでる人が好きそうな短編をカクヨムで書いたので、よろしければどうぞ。」
とあります。3巻発売記念独占インタビューにあった通り、1話の短編のつもりが人気になって先に書籍化したようです。
「イチャイチャ」は温泉編が書籍化済です。

今、読んでおきたい一つ屋根下の甘酸っぱいラブコメ小説「継母の連れ子が元カノだった」の魅力(感想考察)

運命の悪戯の1巻

波瀾の友達の2巻
不滅の関係の3巻
乙女の決意の4巻
恋慕の行方の5巻
横顔の記憶の6巻
素数の軌跡の7巻
十色の旅路の8巻
少年の野望の9巻


もしケンカ別れした元交際相手が親の再婚で「きょうだい」になったら、あなたはどうしますか?

「継母の連れ子が元カノだった」とは?

紙城境介(かみしろけいすけ)の小説。カクヨムの第3回Web小説コンテストのラブコメ部門の大賞をとった作品。
「8月12日」に、カクヨムの週間総合ランキングで1位を獲ったみたいです。1巻あとがきより。

なぜ、このタイトルなのか?

憶測なのでこれが事実とは言えないですが、書きます。

3巻発売記念独占インタビューで紙城境介先生は

「そもそも本作は投稿当時1話で終わるはずの物語だったんです。僕自身続ける予定もなく、短編として突発的に書いた作品でした」

と発言されています。

上で述べられている1話の『元カップルは叫ぶ。「神様てめえ!」』は、最初から最後まで水斗の目線です。
なので、タイトルが水斗から見たストーリー概要になっているだと思います。

ストーリー

中学校の卒業式で別れた「カップル」が2週間後に親の再婚で、「きょうだい」になってしまう所から物語が始まる。

登場人物

rabbitkisaragi.hatenablog.com


一つ屋根の下でのラブコメは今まで色々ありましたが、元カップルの設定はなかったと思います。一つ屋根の下でのラブコメは、思い当たるのは以下の2つです(マンガしか思いつかなかったし、歳バレるよね)

ママレード・ボーイ 文庫版 コミック 全5巻完結セット (集英社文庫―コミック版)

ハチャメチャな親に振り回される子ども同士の恋愛の話。

イタズラなKiss 文庫版 コミック 全14巻完結セット (集英社文庫―コミック版)

親の親友の家に居候することになって、その親の親友の息子が片想い中の天才だったという話。作者急逝のため、未完

水斗と結女の複雑な関係

上であげた2つのとは、また違った物語が展開されていきます。

カップルだった頃の黒歴史をほじくりあい、からかってはやりかえさたり、カップルだった頃の気持ちがよみがえりそうになったりと色々やらかします。主に結女がやらかします。それを水斗がフォローして、表面上は仲のいい義きょうだいを演じてます。
別れたとはいっても、まだお互い好き同士ですれ違った状態。ヨリを戻すにも、親のことを考え踏み留まっている。理由を作って、目を背けている。
母親を知らない水斗と親の離婚を経験した結女、それぞれが変わらない関係の「きょうだい」にすがっている。大切だって思うからこそ壊さないように自分の気持ちを誤魔化し、親の幸せを守るために仲のいい「きょうだい」を演じる。それが、水斗と結女の共通認識だ。

1人で何でもこなしていた水斗が寂しさを埋めるため結女を求めた。良き理解者がいない結女が察しのいい水斗を求めた。互いに支え合っていた。失ってから気づくものがある。それが再び形を変えて、戻ってきた。
ケンカ別れした「カップル」が「きょうだい」になった。日常的に「きょうだい」ケンカが出来るようになった。
気にくわない所も言葉を交わすことによって受け入れるようになる。ケンカは意見のぶつけ合いだ。ぶつけ合わなければ、いつか不満が爆発する。定期的にケンカでガス抜きすることで、いい関係が保たれる。
そんないい関係が保たれた状態で、優しくされたり性的にドキドキしたり、、、一つ屋根でそんな相手が住んでいる。意識しないはずがない。しかし、水斗と結女は「きょうだい」だ。昔には戻れない。

今後どうなるかは、分からない。水斗と結女から目が離せませんね。

最後に

紙城境介先生にとって、カクヨムの週間総合ランキングで1位を獲った「8月12日」は特別な日なのかもしれませんね。4巻読んだ人は分かると思います。
伏線がかなり張られてますので、読み返してみると面白いです。
ビブリオバトルでそれぞれが言った小説、水斗の照れ隠しを読み解くと甘い、図書館での黒歴史、結女の実父について、、、伏線いいよね!

「継母の連れ子が元カノだった」の登場人物一覧

伊理戸水斗(いりどみずと)

結女の元カレであり、親の再婚で結女のきょうだいになった。また結女とは同じ誕生日なため、兄でも弟とも言えないので「きょうだい」の表記が片仮名である。
読む本にジャンルの縛りはなく、何でも読む。運動は苦手だが、勉強は得意で、特に国語が得意。
1人で何でもそつなくこなすことができる。察する能力が長けている。
いつも地味な格好をしているが、その気になればイケメンになる。眼鏡がかなり似合う。

伊理戸結女(いりどゆめ)

水斗の元カノであり、親の再婚で水斗のきょうだいになった。また水斗とは同じ誕生日なため、姉でも妹とも言えないので「きょうだい」の表記が片仮名である。
親の再婚で、苗字が綾井から伊理戸になった。
本格ミステリ小説を好んで読んでいる。運動は苦手だが、勉強は得意で、特に数学が得意。
頭がいいが考えなしに行動するので、度々水斗にフォローされている。
中学時代は眼鏡をかけいて教室の隅で本を読んでいるような地味な生徒だったが、コンタクトにしたりと色々と努力して高校デビューを果たして今は優等生キャラになっている。

川波小暮(かわなみこぐれ)

水斗と結女のクラスメイトで、暁月の幼馴染みでもある。かなりモテるが過去に何かがあって、恋愛ROM専(恋愛を見る専)になったようだ。

南暁月(みなみあかつき)

水斗と結女のクラスメイトで、小暮の幼馴染みでもある。小柄さとすばしっこさから、小動物を思わされる容姿。

伊理戸峰秋(いりどみねあき)

水斗の実父。由仁からは「峰くん」、結女からは「峰秋おじさん」と呼ばれている。

伊理戸由仁(いりどゆに)

結女の実母。旧姓、綾井。童顔でほんわかしているため、実年齢より若く見える。

東頭いさな(ひがしらいさな)

ライトノベルを主に読んでいる。かなりの巨乳。

伊理戸夏目(いりどなつめ)

水斗の父方の祖母。夫の京都弁が移って、今は京都弁口調になっている。

種里円香(たねさとまどか)

水斗のはとこ。二十歳。清楚な見た目だが、かなり陽キャ。スタイルがかなりいい。

種里竹真(たねさとちくま)

水斗のはとこ。小学生の高学年ぐらい。水斗を小さくして可愛いらしくしたような男の子。人見知り。

種里侯介(たねさとこうすけ)

水斗の曾祖父。故人。シベリア抑留経験者。無口で妙に頑固で本の虫だったらしい。

伊理戸河奈(いりどかな)

水斗の実母。元々身体が弱く、水斗を出産してすぐに亡くなる。